まみずハルカの文章

まみずハルカが綴るエッセイポエム小説日常詩〜

境界線〜海の公園〜

境界線の恐怖。所属に適したキャラを演じる。それは、所属の数の分だけ存在する。それが交わるであろう空間に恐怖を覚えるのが私の常だった。例えば、繁華街の道。クラスメイトと遭遇するかもしれない。家族と出会うかもしれない。バイト先の人に声をかけられるかもしれない。その時がいつ来るか気が気でない。だから、やましいことは何一つないのに下を向いて目を誰とも合わさないようにして先を急ぐ。そして、ある所属で「昨日みたよ!〇〇にいたでしょ!」と言われたらすっとぼける。「え!?いないよ!人違いじゃないw」自然な笑顔を人工的に作る才能だけはピカイチ。騙そうとしているわけではない。ただ、所属が交わる空間とか状態が苦手なだけなのだ。

しかし、海に面しているこの公園だけは違う。知り合いが来る心配よりも、壮大な海のパワーが優っているからだ。たとえ、知り合いがいたとしても私に話しかける人はいない。そして、私は他人と不躾に目を合わせることはしないから私の平穏は保たれる。道でもその構造は同じと思うだろう。でも、人の数が全く違う。人が多ければ、出会う確率も自ずと増す。だから、息を潜めてただ過ぎ行く時間を感じることだけに意識を集中させていたんだ。

今日もノートとペンを片手にこの場所に来る。海の音を聞きながら、素直な自分と向き合う神聖な時間。それが、なりたい自分ではなかったとしても私は書き続ける。書きたいことがなくなる死の直前まで。

都会に疲れた人間が今こうして、田舎の海を眺めている。リミットは迫っているが、それはそれで意識して考えない。