まみずハルカの文章

まみずハルカが綴るエッセイポエム小説日常詩〜

優しそうな常連客の趣味

その人は毎週やってくる

 

飲食のバイトを土日だけ入るのが日課なのだが

いつも土曜日16時ごろ

一番お客さんが少ない時間に

やってくるのだ

 

毎回、日替わり定食を頼み

烏龍茶かコーラを注文する

 

注文時は

満面の笑みで

そして、目を見ながら話しかけてくれる

 

その丁寧さが伝染し

店員も自然と優しい対応になっていくのだ

 

60歳くらいのおじさんなのだが

人懐っこい顔つきであるため

誰からも好かれそうである

 

今日もあの人がやってきた

日替わり定食とコーラの注文が入る

 

料理を運び終え

その人が食べている後ろ姿をぼーっと

眺める

 

食事中はイヤホンをつけ

食べながら動画を見ているようだ

 

ふと呼び出しベルがあり

反射的にその席の元に行く

 

「ライスのお代わり下さい」

 

いつもの優しい表情でそう言う

 

「かしこまりました、少々お待ちください」

 

ご飯をつぎ

再びその席へ

 

ふとどんな動画を見ているのかと

その人のスマホの画面を見た

するとそれには

その人の顔が映し出されていたのだった

動画を撮っているわけではなく

ただ

リアルタイムのその人の顔を写していたのだった

 

自分の食べる様子を見ながら

ご飯を食べるという

なんとも

シュールな様子がそこにあり続けていたのだった

 

普通に見えた

平凡に見えた

 

普通じゃなかった

トリッキーだった